シネマ歌舞伎の玉さまに心震えて!そして思いおこす・・

シネマ歌舞伎なるを初体験し坂東玉三郎さまにスッカリ魅了された報告をします、声色俳優岩城朋子です!

新年早々に私の語り芝居「望東尼・想」のパートナー亀田真砂子氏の提案で、シネマ歌舞伎を観に福岡中洲大洋へ足を運んで参りました!
演目は「沓手鳥孤城落月/坪内逍遥作」と「楊貴妃/夢枕獏作」の2本立て。
どちらも平成29年に歌舞伎座にて公演された舞台を、玉さま監修のもとシネマとして作成された映像でしたが、久し振りに岩城は心に閃光を突き立てられた感覚に陥ることが出来ました!

嬉しい!
ものすごく嬉しいのです!!
己の心が震えずして、なぜ人の心を動かせようか。

ことに「沓手鳥孤城落月」は、大坂夏の陣で落城寸前の大阪城の中、玉さま演じる淀君と中村七之助演じる豊臣秀頼の母子愛を描いており、錯乱し正気を失った淀の方が我が息子を見て放つ一言のセリフとあの表情に、すっかりやられてしまった訳です。

あのほんの数秒が・・・。 もうダメでした、やられた、泣いた!
人間国宝とは何ぞやを、いえ、だから人間国宝なんですよ。

またこれはシネマだからこそ観ることが出来る役者陣の、眼差し、涙、唇、白粉、首もと、爪の形、・・・
そしてシネマだからこそ確認出来る、衣装の柄、襟のあわせ、かつらの結い、舞台道具、・・・

んんん・・・ でもやはりですね・・・

あの玉さまの淀君の、目線の動きと一言が、岩城に見たことがあるっっ!! て気付かせるんです。

「母」。
認知の進んだ母に声をかけた時の、あの瞬間と同じ。

本物の舞台の素晴らしさとは異なる味わい方を体験でき、フツフツと湧き立つ想いに今夜は寝付けそうにありません。
いえ、老いた母へ思いを馳せ感傷的な気持ちに支配されている訳ではないのですよ、まったく。
年末から手掛けています岩城の新しい作品に、ヒントを頂けたようで作品の方向性が見えて来たと感じており、誘ってくださった亀田氏に只々感謝なのでございます。

美しいものや超越した人を感じる心は、年を重ねるほどに必要だと理解してはおりますが、その芸術性の中に最も現実的な瞬間を見出した自分に、笑えるほど驚き涙する私なのでした。